伸の部屋

今付き合ってる友達に話す話題ではないなと思ったことを書いていきます。主に映画と本だと思われる。
あと、目標に向けて頑張っている大学生がどんな感じで勉強しているかを温かい批判的なまなざしで見ていただけると来年はもっとすごくなります。
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1冊目 「ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎」(ジル・ペイトン・ウォルシュ著 猪俣美江子訳))

  • あいさつ

 皆さんこんにちは。伸です。
 この記事を書き始めたのは2023/12/24の朝、つまり、クリスマスイブの朝ということですね。めっちゃ寒いです。出来たら家から一歩も出ずに過ごしたいわけですが、この後「なか卯」に行っていくら丼を食べる約束をしているので、願いはかないそうにありません。
 まあ、とりあえず、こんな調子で今日もやっていきたいと思います。


 今回紹介するのは東京創元社から刊行されている「ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎」(ジル・ペイトン・ウォルシュ著 猪俣美江子訳)です。どうやら<イモージェン・クワイ>シリーズの第二作目だったらしく、一作目をまだ読んでいないのに読んでしまいましたが、割と楽しめました。細かい話はここから先で触れていきましょう。
出版社ページ:
https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488200091



  • ミステリとしての完成度

 さて、この小説はミステリなので、ミステリとしてどう頑張っても無理な推理をしていたらいけないし、まして、明らかな誤りがあったらいけないわけです。だから、それについて触れていこうと思います。


 個人的には、上手いなと感じさせてくれました。推理小説には二種類あると思っています。読者に推理させる気があるものとそうでないものの二つです。前者はきちんとすべての証拠を提示し、探偵役が何を発見したのかをすべて教えてくれるもので、後者は何かしらを隠したり、自明のこととして説明しないものです。その意味ではこの作品は前者に該当すると思います。主人公のイモージェンが疑問に思ったこと、地の文において彼女が具体的に書き記した部分を追っていけばきちんとなぞは解けるようになっていますし、なによりも、手がかりがあったよねと分かりやすくしてくれているように感じました。(実をいうと、探偵役の推理をきちんと終えた初めての小説でした。あ、いや、シャーロックホームズは追えたかな? ちょっと覚えてないですね。)



  •  コージーミステリの魅力

 皆さんはコージーミステリって知ってますかね? まあ、こんな辺鄙なブログを見に来る人はよほどの読書好きか何かだろうし、まかり間違っても僕の文章に魅力を感じて読み始めましたってわけではないですよね。だいたいあれでしょ? この本を読もうと思っているけど、読むべきかどうか迷ってるから記事を見てみたって感じでしょ? まあ、そんな人は知ってるか・・・・・・。


 はい。暗くなるのはここまでっすね。コージーミステリとは「ハードボイルド小説とは対照的な作風を持つ」小説で、「『居心地が良い』『親密な』」といった形容詞で言い表される雰囲気が似合い、「事件のほか、主人公の日常の生活や、恋愛関係についての描写が充実して」いる小説だそうです。(by 通訳翻訳ジャーナル2024WINTER p.74より引用)


 個人的にはサラ・パレツキーさんの「V.I.ウォーショースキー」シリーズと同じくこの作品もコージーミステリだと思っていますが、東京創元社のサイト的には違うそうです。まあ、分類なんて作者が言わない限りは読者の自由ですからね! 気を取り直して説明すると、今回の小説にはパッチワークが要素としてちりばめられていてすごく温かい雰囲気だし、イモージェンの旧友との再会や下宿人のフランとの親しげな会話、フランの恋人との会話などはまさに親密な雰囲気でした。だから、個人的にはコージー・ミステリとして考えています。



  • 言語についての認識に妙がある

 最後に、この小説において謎を解くカギになるヒントに「わたしたち━━わたしは」(同書253ページより)という部分があります。これはその後に『WeとIを間違えるか?』みたいなセリフがあり、確かに、日本人の感覚であっても間違えることはないし、そこから謎が紐解けていくのも頷けるなと思いました。


 これは同時に、『通常、母国語を使い間違えることはないし、特に頻繁に使うような言葉は間違えるなんてありえない』という認識が前提になっていることを気づかせてくれる要素でもありました。えーっと、どれだけの人が僕が塾で働いていて、英語を教えている理系大学生であることを知っているかわかりませんが、その関係で少しは言語学について知ろうと本を読んで浅く知っているんですね。で、だからこそ、この前提が僕の中にあったんだと気づかせてくれたし、この前提がなかったら、推理小説を楽しむなんてことはできないなとも思いました。だって、作者が日本語を使い間違えていたら、それこそ、謎を解くカギとなる部分を書き間違えていたら、読者は解けないわけで、その時点で矛盾が発生するのでお話として成立しなくなりますよね。もちろん、探偵役が発見したヒントがすべて正しく事件にかかわっているという前提でお話は成り立っていますが、言葉の使い方についての前提もあったんだなと思わせてくれました。




  • まとめ

 ということで、今回はミステリ小説の「ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎」を紹介しました。ミステリ初心者や、最近難しいの多すぎてムリーと思っている人、ミステリ小説で自分で謎を解けたためしがないと思っている人におすすめです。ぜひ、読んでみてください。


 ここまでお読みくださりありがとうございました。次回もお楽しみください。

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